生産者紹介

  • 12月号

    「胡桃(くるみ)」岩手県九戸村 小井田重雄さんと寛周さん

    北上山系最北端に位置する九戸村。やませが吹き付けるこの地は、夏でもひんやりとした空気に包まれています。度々冷害に見舞われ、農民たちは飢饉に喘ぐことも少なくありませんでした。昭和10年、冷害による農民の飢饉を救おうと提唱されたのが「立体農業」。牛を飼い、蜜蜂を放ち、木の実を獲るという農場の空間を立体的に活用する農法です。戦後、立体農業の可能性を信じて先代に反発しながら畑に胡桃の木を植えた父の遺志を継ぎ、立体農業を守り続けるのが重雄さん(65)と息子の寛周さん(30)です。東北の農民の歴史と共に歩んできた小井田家の物語と、手で割ることができ、優しい甘みのテウチグルミをお届けします。

  • 11月号

    「里芋(さといも)」福島県相馬市 菊地将兵さん

    福島原発の事故後、相馬市にUターンして新規就農した菊地将兵さん(31)。「日本で一番汚れてしまった場所だからこそ、日本で一番安全な食べものを作りたい」と有機農業を始めました。産地名だけで拒絶されるなど風評被害に苦しむことも多々ありますが、次世代へ相馬の農業をつなぐために活動しています。奮闘の最中、一筋の光として差し込んだのが、地元唯一の伝統野菜「相馬土垂」。およそ40年間誰も栽培していないこの里芋を復活させることが希望になると考え、地道な捜索活動の末、2015年に種芋を見つけ出し、栽培に漕ぎ着けました。相馬の農業復興に懸ける菊地さんの想いとともに、復活させた相馬土垂をお届けします。

  • 10月号

    「玄米(げんまい)」山形県高畠町 中川吉右衛門さんと美花子さん

    江戸時代から続く農家を継いだ14代中川吉右衛門さん(41)は、農を通して常に己を表現し、「日本の農と食を繁盛させる」ことを志に掲げる百姓。若いころは農業への想いはなく、東京でとび職などをしていましたが、偶然目にした自然栽培農家のドキュメンタリーに心を打たれ、農の道に。1年の研修を経て家業を継ぐと、生産にとどまらず、農家と消費者の交流イベントを催したり、新規就農者を増やすための団体を設立したりと幅広く活動しています。アクティブな吉右衛門さんにとって不可欠な存在が妻の美花子さん。「仲のよい“農夫婦”だからこそ、いいものがつくれる」と語る二人の物語と、農夫婦が育てるササニシキの玄米をお届けします。

  • 9月号

    「豚(ぶた)」宮城県登米市 伊豆沼農産のみなさん

    日本最大級の渡り鳥の越冬地、伊豆沼のほとりに創業した伊豆沼農産。養豚家の伊藤秀雄さん(59)は、つくって終わりの「農業」ではなく、食べてもらうまでの一貫した産業=「食業」を興したいと、全国に先駆けた農家直営レストラン、加工品開発と、先進的なアイデアを次々実現してきました。勢いは留まるところを知らず、最近では伊豆沼の自然から見つかった酵母を使ったどぶろくづくり、自然観察教室開催、広大な体験農園の運営と、自然と食べる人のつながりを広げています。そんなアイデア社長の無茶振り(?)を形にしている個性的なスタッフのみなさんとともに、伊豆沼農産独自のブランド「伊達の純粋赤豚」をお届けします。

  • 8月号

    「棒穴子(ぼうあなご)」秋田県潟上市 伊藤徳洋さん

    秋田でも知る人ぞ知る珍味、棒穴子。ヤツメウナギに近い無顎類で、生きた化石ともいわれる深海生物です。この棒穴子のぬめりを十分に取り、天日干しにしたものが長く男鹿地方で食されてきましたが、現在、秋田でこれを獲っているのは伊藤家のみ。男鹿市で唯一、伝統の漁法を守ってきた漁師が2014年に廃業すると聞きつけ、地元の食文化を消滅させてはならないと継承しました。見た目は少々グロテスクですが、ローストすると脂がのった味わいで、ホルモンのようなプリプリした食感が病みつきになります。さわやか系イケメン、徳洋さんが教えてくれる秋田の海の知られざる世界を、これまでにないビックリ食材とともにお届けします。

  • 7月号

    「トマト」福島県会津若松市 大友佑樹さん

    脱サラして、福島県会津若松市の妻の実家に新規就農した大友佑樹さん(32)。義父のつくるトマト「麗夏」と顔が見える顧客の関係を絶えさせてはいけないと、一から栽培を学び、めきめきと頭角を現しています。市場流通の都合で、青く未熟なまま収穫・出荷されるトマトが多い中、樹上で真っ赤になるまで完熟させる「麗夏」は、会津の陽光をたっぷり浴びて、うまみがぎゅうっと凝縮。地元出身ではないからこそ、地域の人たちとの連携を重視し、自ら加工や商品開発にも乗り出しました。“おやじのトマト”を超えるべく日夜奮闘する、若手農家のストーリーをお届けします。ちなみに東北食べる通信読者OBでもあります。

  • 6月号

    「銀鮭(ぎんざけ)」宮城県女川町 鈴木真悟さん

    三陸海岸の最南端、牡鹿半島の付け根に位置する女川町。東日本大震災では14mの大津波が町を襲い、住宅の9割近くが被害を受けました。そんな故郷の姿を見て、家業の養殖業を継ぐべく、Uターンしたのは鈴木真悟さん(29)。原発事故による風評にも直面しましたが、これに打ち克つには旨いものをつくるしかない、と養殖技術に磨きをかけてきました。今回お届けするのは、4〜7月限定の“生”の銀鮭、その名も銀王。餌と独自の氷水締めにこだわった「天然より美味しい鮭」。銀鮭養殖の世界的パイオニアのお祖父さん、その銀鮭をもっと多くの人に知ってもらおうと奮闘する真悟さんのストーリーとともにお楽しみください。

  • 5月号

    「蕨(わらび)」山形県小国町のみなさん

    4月号に続き、5月号も連続で山形県小国町を特集。今号では、融雪をたっぷり吸った草木や山菜が芽吹く春の姿をお伝えします。お届けしたのは、ワラビ。太くやわらかく、独特なぬめりがある小国産ワラビを、数々の山菜製品を手がける美森ファームさんにご用意いただきました。そして編集部はマタギ同行取材を決行。ときに飯豊連峰を10数キロ、熊を求め歩くという小国マタギに必死に付いて歩いたルポルタージュを、この地で育まれてきたマタギ文化の物語とともにお届けします。増量で熊肉をお届け!できるかは猟次第です。

  • 4月号

    「滑子と木耳(なめこ・きくらげ)」山形県小国町 渡邊正義さん

    森林面積が約9割を占める山形県小国町。朝日連峰と飯豊連峰に囲まれた極めて深い山里で、積雪は人の背丈を優に超します。ここには、山とともに生きる人々のもと、風前の灯火となりつつある本格的な狩猟文化「マタギ」が残っています。この小国町を創刊以来初の二号連続で特集します。まだ残雪深い4月に特集するのは、キノコ生産者・渡邊正義さん(64)。全国初の観光ワラビ園を開園するなど「自分の生活は自分でつくる」精神で、新しい営みを集落に生み出してきました。お届けするのはナメコとキクラゲ。試行錯誤の末、独自開発した栽培法で育てた肉厚なキノコをお楽しみください。

  • 3月号

    「小女子(こうなご)」宮城県石巻市給分浜 安藤秀さん

    宮城県石巻市の牡鹿半島にある小さな漁村、給分浜。安藤秀さん(34)はこの地で、牡蠣やワカメの養殖業を営みつつ、季節に獲れる魚を狙う漁船漁業にも力を注いでいます。3月号は当初「メロウド(イカナゴの宮城での呼称)」をお届けする予定でしたが、著しい不漁のために断念。主役の安藤さんがメロウド稚魚である「コウナゴ」漁に切り替えたため、本誌も特集食材をコウナゴに変更し安藤家を2ヶ月に渡って追いかけました。

  • 2月号

    「牛乳(ぎゅうにゅう)」岩手県岩泉町 中洞正さん

    牛舎ではなく山上の放牧地で乳牛を飼育し、自生の野シバをエサに交配や分娩にも人の手を加えないことを哲学とする、中洞正さん。40年間幾多の試練を乗り越え、この「山地酪農」を確立しました。そこには「外国産の飼料を食べさせ、牛舎で育てる通常の酪農では牛は幸せにならない。人も働き詰めで楽にならない」との信念があります。山地酪農によって酪農を「楽農」に変えたいと志す中洞さんの牧場には、毎年何百人もの若者が武者修行に訪れ、滞在します。2月号では中洞さんと周りに集う仲間たちのストーリーを、元気に山を駆け回る牛からいただいた牛乳とともにお届けしました。

  • 1月号

    「早採若布(はやどりわかめ)」岩手県宮古市 重茂漁協のみなさん

    本州最東端、太平洋に突き出した重茂半島。三方を断崖絶壁に囲まれ、リアス式海岸の中でもとりわけ隔絶した地形です。まさに陸の孤島ですがここに養殖コンブ・ワカメで東北トップクラスの売上を誇る重茂漁協があります。親潮と黒潮がぶつかる栄養豊富な漁場であるだけでなく合成洗剤追放運動に取組むなど、自然保護と資源管理に長年取組んできた歴史が豊漁を支えています。

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