生産者紹介

  • 12月号

    「菜種油」岩手県一関市の小野寺伸吾さん

    江戸時代、「蘭学の源流は一関にあり」と言わしめた、建部清庵(たけべせいあん)という名医がいました。度重なる飢饉を目にした清庵は、再びやってくる飢饉のために、食べられる野草や栽培すべき作物について書き記しました。その中で彼が奨励した作物が菜の花でした。市民は清庵の教えを守って盛んに菜の花を作りましたが、戦後、大手メーカーの油に押されて菜の花畑は激減。小野寺伸吾さん(42)は、「昔のように地元で搾った油を食べたい」という人々の思いに触れ、町で唯一の油屋になりました。今回お届けするのは一関産の菜種を、化学薬品を使わない昔ながらの製法で搾った菜種油。香り高くあっさりとした黄金の油をお楽しみに。

  • 11月号

    「人参」宮城県仙台市の佐藤将大さん

    宮城県仙台市の野菜農家・佐藤将大さん(34)が来月号の主役です。東日本大震災でライフラインが寸断されても、山水を飲み、薪をくべ、備蓄食糧で何不自由なく生活できる農家の暮らし方を見て「これだ!」と一念発起して農業の道へ。作った野菜をリアカーに積み込んで売り歩き、5年かけて少しずつファンを増やしてきました。農薬や肥料に依存しない農業を実践するだけでなく、「食べものを作る人間として、食べられない人には躊躇なく分けられる農家になりたい」と理想を掲げて進化を続けています。付録は「黒田五寸人参」。昭和初期に育成された品種で、柔らかく、強い甘みが特徴です。立派な葉付きでお届けします。付録は立派な葉付きの「黒田五寸人参」と季節の野菜。人参の芽吹きの時期に日照りが続き数量不足が見込まれるため、人参にもう一種類の野菜を合わせてお届けします。

  • 10月号

    「生姜」岩手県陸前高田市の菊地康智さん

    岩手県沿岸部、南端に位置する陸前高田市。キラキラと輝く海が見える段々畑で生姜を育てている菊地康智さん(36)が来月の主役です。菊地さんは千葉県で生まれ育ちますが、東日本大震災をきっかけに母の出身地である陸前高田市に移住しました。震災当時、凍えるような気温の中で避難生活を強いられた人々を思い、身体を温める「生姜」を作ることを決意。しかし、生姜は高知県など温暖な地域で作られることが多く、岩手での栽培は失敗の連続でした。農家になって6年、前例のない中で栽培方法を確立させてきた菊地さん。食べる人と土地の健やかさを願って無農薬・無化学肥料で育てた香り高い生姜をお届けします。

  • 9月号

    「鹿肉」岩手県大槌町の兼澤幸男さん

    岩手県中央部、三陸海岸に位置する大槌町。来月の主役・兼澤幸男さん(35)は、東日本大震災で母を亡くしたことをきっかけに帰郷。鹿によって農地が荒らされていることを知り、2015年から狩猟を始めました。しかし当時は原発事故の影響で、野生動物の食用は認められておらず、獲った鹿は焼却処分となっていました。兼澤さんは心を痛め、「奪った命をきちんと活用したい」と、2年半もの年月を費やして県内初の規制解除にこぎ着けました。現在は全頭に対して放射性物質検査を行った上で出荷しています。お届けするのは鹿のもも肉。メスと若いオスに限定し、捕らえてから1時間以内に解体することで徹底的に臭みのない肉にこだわっています。

  • 8月号

    「畑茄子(はたなす)」山形県新庄市の松田佳祐さん

    最上川の中流に位置し、江戸時代には舟運の要所として栄えた、新庄市本合海(もとあいかい)。17軒ほどからなる「畑地区」で、最年少農家である松田佳祐さん(33)が来月号の主役。最上川が幾重にも蛇行しているため、畑地区では水害が頻発します。一方で、川の氾濫は豊富な栄養分を運び入れ、肥沃な土壌を作り上げてきました。江戸時代に京都から伝わり、畑地区だけで作られてきた「畑茄子」。現在では7軒ほどの農家によって守られています。数百年の時を経てこの地に適応し、頭まで水を被っても無事に実らせます。まん丸で、大きく、皮が薄くて緻密な肉質が特徴の畑茄子を松田さんの物語とともにお楽しみください。

  • 7月号

    「メロン」山形県酒田市の小林忍さん

    山形県北西部に位置する酒田市。日本海に面した弓状の庄内砂丘には、メロン畑が広がっています。砂丘ならではの寒暖差と、水はけのよい土壌、そして鳥海山の雪解け水による豊富な地下水がメロン栽培に最適な環境をつくり出しています。来月の主役はメロン農家の小林忍さん(42)。彼はメロンの評価が味の良し悪しではなく相場に左右されることに疑問を感じ、直接販売を決意。食べる人との関わりの中で技術に磨きをかけてきました。付録はさまざま品種のメロン。その日に採りごろを迎えたものを選び抜き、毎朝試食をしてから送り出します。甘さだけではない、豊かな味わいと滑らかな口あたりをお楽しみください。

  • 6月号

    「ホロホロ鳥」岩手県花巻市の石黒農場の皆さん

    岩手県中央部に位置する花巻市。温泉郷のほど近くで、日本で唯一のほろほろ鳥専用農場を営む石黒幸一郎さん(53)が来月の主役です。今から60年ほど前、鶏や牛を飼育していた石黒家ですが、新しい名物を生み出そうと目をつけたのがほろほろ鳥でした。ほろほろ鳥は「食鳥の女王」と称され、フランス料理には欠かせない食材です。しかし、アフリカなど温暖な地域で生息し、神経質な性格のため、飼育は困難を極めました。試行錯誤を重ね、温泉を鶏舎に引き込んで温める、平飼いをするなど、ようやく最適な環境を創り出すことに成功しました。付録は味わい豊かなほろほろ鳥のもも肉と、旨みが溶け出したガラスープです。

  • 5月号

    「ホヤ」宮城県石巻市の渥美貴幸さん

    複雑に入り組んだ海岸線に象られた牡鹿半島に位置し、小さな湾を囲む谷川浜。ホヤ漁師・渥美貴幸さん(37)は、2015年9月号で特集し、2回目の登場となります。かつては、国内で生産されたホヤの80%が韓国に輸出されていました。しかし、福島第一原発の事故を受けて韓国が禁輸政策をとったため、行き場を失ったホヤがあふれ、漁師たちは廃棄を余儀なくされました。自身も津波に飲み込まれながらも生き延びた渥美さん。彼は「捨てたくない」と言い張り、品質の向上と消費者へのPRに心血を注いできました。彼のホヤ物語第二章とともにお届けするのは、えぐみや臭みがなく、苦手な方にこそ食べて欲しいホヤ。宮城県が誇る珍味をお楽しみください。

  • 4月号

    「アンコウ」青森県風間浦村の木下清さん

    下北半島北西部に位置する風間浦村。蛇のように曲がりくねった海岸線からは、遠く北海道を臨みます。風間浦村は、港からわずか十数分の場所に漁場があり、刺し網やはえ縄という漁法で獲るため「生きたまま鮟鱇が揚がる日本で唯一の町」として全国にその名を轟かせています。この地で漁業を営む木下清さん(39)も、秋から春にかけて鮟鱇を狙います。鮟鱇を携えて上京し、さばいて消費者と一緒に食べるという体験をきっかけに「みんなに魚ば好きになって欲しい」と、自ら加工まで手掛けるようになりました。お届けするのは、鮟鱇の身、肝、アラ、皮、胃袋のセット。骨以外は捨てるところがないと言われる鮟鱇をまるごとお楽しみください。

  • 3月号

    「牛乳」福島県鮫川村の清水大翼さん

    茨城県との県境に位置する福島県鮫川村。ジャージー牛34頭を飼う清水大翼さん(32)が来月の主役です。幼い頃から動物が好きで、放牧酪農を夢見て北海道で修行をしていましたが、福島第一原発の事故が発生。それでも故郷で酪農をしたいと2012年に帰郷しました。現在、福島県では放射性物質検査をクリアした餌のみが許可されており、野山に生える草を食べさせる放牧酪農は組合の自主規制があり不可能となっています。16haの地を開墾して放牧場を作った清水さんですが、その目処はまだ立っていません。それでも前を向いて一歩ずつ進んできました。お届けするのは牛乳。コクがありながらもすっきりとした味をお楽しみください。

  • 2月号

    「ネギ」福島県会津若松市の佐藤忠保さん

    福島県会津若松市、「あいづだいら」とよばれる広大な盆地に位置し、古くから穀倉地帯として栄えてきました。この地で12代続く農家の長男として生まれた佐藤忠保さん(31)は畑で育ち、自然に農家の道に足を踏み入れました。しかし、実情は赤字経営で倒産寸前。そんな中、父が倒れて突然の園主交代を迎えます。彼は稼げる農家を目指して次々と農地を集積し、8年間で約10倍にまで面積を増やしてきました。「機械を止めたらただの鉄屑だから」と、雨の日も日暮れ後もトラクターを乗り回して働きます。あえてネギが雪の下に埋まるのを待って凍る直前まで追いこみ、雪の下で甘味が最高潮に達した雪下ネギをお届けします。

  • 1月号

    「真鱈(まだら)」秋田県にかほ市の佐藤正勝さん

    秋田県南西部、山形県との県境に位置するにかほ市。竹竿に掛けたタラを漁師たちが担いで神社に奉納する「掛魚(かけよ)祭り」別名「タラ祭り」が、この町の350年以上続く冬の風物詩です。今回の主役は、この地で四代目になる漁師・佐藤正勝さん(49)。漁師の家に産まれながら、魚嫌いだった彼を変えたのは一杯の味噌汁でした。「船の上で食べた獲れたての魚を入れた味噌汁が最高にうまかった」。魚嫌いの人にも本当に美味い魚を食べてほしいと願い、今日も荒れる冬の海に向かいます。そんな佐藤さんの物語とともにお届けするのは真鱈。冬に向かって身が締まり、旨みが凝縮された旬の味をお楽しみください。

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