生産者紹介

  • 12月号

    「馬面剥(うまづらはぎ)」青森県深浦町の竜志会(りゅうしかい)の皆さん

    青森県の西端に位置し、背後に岩木山と白神山地を、目前に日本海を臨む深浦町。本州から北海道に渡る北前船が荒天時に逃げ込む“風待ち湊”として江戸時代から賑わいを見せました。港が熱を帯び始めるのは12月。春までのわずか4ヶ月の間に1年の約3分の2の漁獲量を誇ります。近年の魚価と漁獲の低下により、夏の間に出稼ぎに行く漁師が多い中、「ここで漁師として生きていく」と志を同じくする5人の漁師たち、その名も「竜志会」の姿を追いました。彼らの意地と工夫とともにお届けするのは馬面剥。主に加工済みの状態で流通していますが、そのままの姿でお送りします。

    11月号

    「赤皿貝(あかざらがい)」岩手県山田町の佐々木友彦さん

    岩手県沿岸部、巾着型の湾を有する山田町。波が静かな山田湾には、この町の間伐材で組み上げられた牡蠣の養殖筏が浮かんでいます。この海で“歌う漁師”が今回の主役、佐々木友彦さん(43)。母を交通事故で亡くし、津波と大火に襲われた震災では姉と甥を失います。さらに介護が必要な父をたった一人で6年間支えました。次々に襲いかかる試練に立ち向かうために歌い始めます。赤皿貝は牡蠣に付着する貝で、鮮度が落ちやすいため市場では加熱用として出回っています。佐々木さんは、この貝の生態を丁寧に観察し、新鮮なまま出荷できる方法を編み出しました。佐々木さんの人生を乗せた赤皿貝をぜひ生でお楽しみください。

    10月号

    「薩摩芋(さつまいも)」福島県石川町の紀陸洋平さん・聖子さん

    福島県南西部、阿武隈高原の西側に位置する石川町。この地で年間30種類ほどの野菜と、4人のやんちゃ盛りの男の子を育てているのが紀陸洋平さん(42)・聖子さん(41)。福島原発の事故後、「この事故を自分ごとにしたい」という想いだけで群馬から縁もゆかりもない福島に移住してきました。とにかく美味しい野菜を食べて欲しいと品質にこだわる夫と、お客様一人ひとりを大切にしたいと伝え方にこだわる妻。二人の絶妙なバランスがつくり出す野菜は食べる人の身も心も満たしてくれます。今回はじっくり貯蔵して甘みを引き出した薩摩芋と、手で皮がむける蕪、小松菜など旬の葉物のセットをお届けします。

  • 9月号

    「秘伝豆(ひでんまめ)」山形県庄内町の大友真樹さん

    見渡すかぎり田んぼが広がる庄内平野。最上川の豊富な水量と天災が少ないこの地では、脈々と農が営まれてきました。その庄内平野にある余目(あまるめ)で、秘伝豆という枝豆を無肥料・無農薬で栽培するのが大友真樹さん(41)。高校中退後、上京し、新聞配達や自動車整備士など職を転々とする中、同じ山形で自然栽培を行う農家と出会い、農業に目覚めました。肥料・農薬を使っていた父を納得させるべく、他人の畑を借りて豆の自然栽培を開始。そんな大友さんの姿とともにお届けするのは秘伝豆。大粒で、味、香りが素晴らしいことからこの名前がつけられたという説もあります。深まる秋の味覚、山形の秘蔵っ子をお楽しみください。

    8月号

    「木苺(きいちご)」秋田県五城目町の鈴木矩彦さん

    0、2、5、7のつく日は市が立つ町、五城目。520年以上続く朝市は秋田県最古と言われています。そこでラズベリービールを売るのが鈴木矩彦さん(46)。六本木の高層ビルで震災を経験した彼は、都会での自分の生活には支え会える関係性が気薄なことに気づきます。秋田にUターンし、養父の樹イチゴ栽培を手伝い始め、新しい使い方はないかと考えだしたのがビールでした。2016年に商品化して人気を博しますが、顔が見える関係性を強くしたいと対面販売にこだわります。そんな彼の生き方とともにお届けするのは木苺。黒くて甘い「ハノーバー」と、赤くて酸っぱい「ヘリテージ」という品種。甘酸っぱい夏の味をお楽しみください。

    7月号

    「白桃(はくとう)」福島県桑折町の羽根田幸将さん

    献上桃の郷、福島県桑折町。4月中旬には町がピンク色に染まります。そんな桃の産地で、桃農家としては日本初のGLOBALG.A.P.(農作物の安全性を客観的に評価する国際認証)を取得した桃を作るのがはねだ農園の三代目、羽根田幸将さん(28)。2015年、父の大病をきっかけに故郷に戻って桃づくりを始め、厳しい風評被害の中、第三者からの安全性の評価が必要と、2016年に取得。また、「一流の桃をつくる」という羽根田さんに共感し、はねだ桃園の戸を叩いた南和希さん(25)の姿も見逃せません。お届けするのはひとつひとつ手で触って完熟を確かめながら収穫する桃。二人の青年の想いとともにお楽しみください。

    6月号

    「生大蒜(なまにんにく)」青森県田子町 宮村祐貴さん

    青森県田子町、一歩足を踏み入れるとにんにくの香りさえする一大産地。ここで無農薬でにんにくを育てているのが、スキンヘッドに顎髭、真っ赤なシャツという出で立ちの宮村祐貴さん(31)。東京で飲食や建設の仕事を転々としていた頃、実父のガンが判明しUターン。農家だった祖父はすでに他界しており、ゼロからのスタートとなりました。祖父が残してくれた畑、にんにく、そして栽培について細かく記されたノートを大切にしながらクワを振るいます。そんな宮村さんの物語とともにお届けするのは生大蒜。乾燥させていないのでみずみずしく、無農薬だからこそ食べられる葉っぱも根っこも丸ごとお楽しみください。

  • 5月号

    「桜鱒(さくらます)」青森県むつ市 海峡ロデオ大畑のみなさん

    下北半島北部、津軽海峡に面した青森県むつ市大畑。津軽海峡の荒波を乗りこなし、自らを「ロデオ」と称する漁師たちがいます。定置網漁師の佐藤敏美さん(42)と濵田一歩さん(38)は、町に活気を取り戻したいと15年以上温めてきた構想を今年ついに実現させました。市役所の職員や寺の副住職、神社の禰宜や風呂屋の息子など様々な町の人を巻き込み、「海峡ロデオ大畑」という団体を立ち上げ、漁業体験ツアーを始めたのです。彼らが起こす春の嵐とともにお届けするのは桜鱒。熱を通してもふっくら柔らかい身と薄い皮が特徴的な高級魚です。遅い青森の桜を思い浮かべながらお楽しみください。

  • 4月号

    「倉石牛(くらいしぎゅう)」青森県五戸町 沼沢利夫さん

    まだ雪が残る五戸町倉石。ひらけた田んぼに無数に立ち並ぶ円錐形の稲藁の束はすべて牛の餌になります。倉石は昔から畜産が盛んな地域でしたが、牛肉の自由化に備え、高品質な肉牛を生産しなければ生き残れないと1980年に黒毛和牛の飼育をスタートさせました。当時はまったくノウハウがなく、他の産地の餌をこっそり持ち帰って舐めて研究するなど決死の努力が続きました。現在倉石牛の生産者は12人。少しずつ生産者が減っているのが現状です。そんな中、「生産者も牛舎を一歩出れば消費者だ」という気持ちを胸に、「どうすればもっと美味しくなるか」と考える彼らの姿と共に、倉石牛のスネ肉もしくはネックをお届けします。

  • 3月号

    「独活(うど)」福島県西会津町 渡部佳菜子さん

    新潟との県境、四方を山に囲まれ、阿賀川沿いにこぢんまりと開けた福島県西会津町。県内でもトップクラスの豪雪地帯。父の背中を見て、農家に憧れていた渡部佳菜子さん(26)が就農したのは2011年3月9日。希望いっぱいの農家人生は原発事故によりひねり潰され、野菜を廃棄することが最初の仕事になりました。あれから7年。「私が福島の農業のイメージガールになる!」と奔走してきた彼女も、もうすぐ母になります。そんな渡部さんのストーリーとともにお届けするのは独活。紫がかった、在来種に近い品種で、無農薬で育てています。野生のものよりアクが少なく爽やかな香りが特徴です。春の便りをお楽しみに。

  • 2月号

    「牡蠣(かき)」宮城県南三陸町 戸倉のみなさん

    宮城県の北東部、志津川湾に面した南三陸町。東日本大震災前、小さな湾には海の許容量以上の牡蠣の養殖イカダが密集し、3年かけなければ牡蠣が出荷できませんでした。震災で全てを失った時、牡蠣部会の会長に就任したのが後藤清広さん(57)。365日中100日会議を重ねて町内・戸倉の漁師たちを束ね、海の資源を守るために、3分の1までイカダを減らす決断をしました。今では1年で大きい牡蠣が育つようになりました。また、2015年に持続可能な養殖漁業の世界認証(ASC)を日本初で取得し、「資源を分け合う漁業」を続けています。後ろから皆を支える柔らかなリーダー、後藤さんの姿とともに、のびのびと育った牡蠣をお届けします。

  • 1月号

    「赤藻屑(あかもく)」宮城県塩竈市 赤間俊介さん

    日本三景の松島湾を望む宮城県塩竈市。地名の通り昔から竈(かまど)での塩造りが盛んで、ホンダワラ類の海藻を活用した藻塩の製造が行われていました。その海藻の中でも健康に良い食材として昨今注目を集めているのが、アカモク。漁師の赤間俊介さん(34)は塩竈でアカモクを収穫・加工し、全国各地に発送しています。もともと俊介さんの祖父の代から海苔養殖を営んでいましたが、父・廣志さんの代に秋田で食されていたことに着目し、松島湾で初のアカモク漁を始めました。新年号では、赤間さんが採ったアカモクを海で生きていたときと同じ状態でお届けします。生アカモクのネバネバシャキシャキをお楽しみに。

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